
「GIGAスクール構想」て、
私たちの時代と何がちがうの?
親世代にはなかった略語やカタカナ語に、戸惑ってしまうママは多いですよね。
つい「わたしには関係ない」って他人事としてスルーしちゃってませんか。
今、子どもたちがおかれている教育現場では、ICTを活用したsociety5.0(ソサイエティファイブ)とよばれる未来に向けて、どんどん変化が加速しています。
これは、コロナ禍が原因で急に降ってわいた課題ではありません。
確実に世界は変わりつつあるのですから、わたしたちママ世代も目をそむけてはいられませんね。
今回は、学校やニュースでも聞かれるようになった「GIGAスクール構想」や「society5.0」といった「ICT」に関する内容について、最低限ママが知っておきたい内容をざっくり解説します。
大丈夫、むずかしく考える必要はありませんよ。
文房具の一つとして活用していくイメージでOKです。
ICTについては、もしかしたら子たちの方が詳しいかもしれません。
ぜひ、親子で一緒に知ることから始めましょう。
ママが知るべき【GIGAスクール構想】のキホン
2020年のコロナショックでは、突然の休校や9月入学案など教育の現場は大混乱しましたよね。
これをきっかけに、もともと文部科学省が5カ年計画(2018~2020年)ですすめていた「GIGAスクール構想(ギガスクールこうそう)」を前倒しすることが発表されました。
この急速な変化により、学校や家庭といった末端の教育現場では第二波ともいえる「GIGAショック」が勃発。
ICT化に対応できるかどうかで、家庭や学校が二極化し、スタート時点で環境格差が明るみにさらされています。
GIGA=「みんなに国際的で革新的な創造への入り口を!」
GIGAスクール構想とは、文部科学省と政府が推進するICT(「Information and Communication Technology」の略、SNS・メール・ネット検索など)を積極的に活用した教育改革の構想です。
GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All」の略。
「すべての人に、国際的で革新的な創造への入り口を!」という意味です。
構想の実現には「将来必要なテクノロジーの活用」を教育現場にとりいれることが不可欠。
具体的には、
令和スタンダードともいわれる2本柱の導入を目指しています。
・学校での「高速大容量の通信ネットワーク」導入
しかも、コロナ禍による必要性が高まりから、この端末導入目標は「令和2年度内」と大幅に”前倒し”されました。
こうして、総額4610億円という大型予算をつけて急ピッチで環境整備がすすめられています。
「for All」=「すべての人」と謳っているように、特別な支援を必要とする子をふくめ、多様な子どもたち一人一人に最適化された教育を実現し、教師・子どもそれぞれの能力を最大限に引き出すことを目的としています。
背景:かなりヤバい日本のICT現状
莫大な予算や労力をかけてでもGIGAスクール構想を実現しようとしているのには、訳があります。
OECDが進めているPISA(Programme for International Student Assessment)とよばれる国際的な調査では、日本の学校でのICT活用率はケタ違いで最下位レベル。
学校内外でのICT使用状況(2018)抜粋
学校でのICT活用頻度(週1回以上)
OECD平均:約45%
日本 :約10%
コンピューターを使って宿題をする
OECD平均:22.2%
日本 : 3.0%
ウェブサイトで学校のお知らせを見る
OECD平均:21.3%
日本 : 3.4%
日本の学校でのICT活用率は、世界から大きく取り残され、ダントツ”最下位”なんですね。
では日本の子どもはICTを活用していないのでしょうか。
実は、そうでもないようです。
ネットでチャットをする
OECD平均:67.3%
日本 :87.4%
一人用ゲームで遊ぶ
OECD平均:26.7%
日本 :47.7%
ゲームやチャット活用率は、平均を大きく上回っています。
ここから分かるのは、日本の子どもにとってICTは「学び」ではなく「遊び」に使うものであるという現状です。
子どもがPCやスマホに夢中になっていると、私たち大人もつい「ゲームでもやってるのかな」と思ってしまいがちですよね。
これからは、「ICT=遊び」という思い込みから飛び出して、社会全体で「ICTを学びに生かす」という考え方の転換からはじめないといけませんね。
~未来の人材を育てる「教育」は、国家の一大事~
現状を見ると、教育現場の改革が急がれるのも、うなずけます。
目的:「スキル育成」と「学校教育の向上」
間違いなくやってくるsociety5.0時代。
society5.0とは、「①狩猟社会→②農耕社会→③工業社会→④情報社会」の次にくる「⑤超スマート社会」のこと。
これは、今の目まぐるしいテクノロジーの進化を見ていると、決して大げさな表現ではないと思います。
そんな次世代に対応できる「スキルの育成」、ICT活用による「教育の向上」は令和に生きる子どもたちに必須で、それこそがGIGA構想の目的といえるでしょう。
具体的には、次のように紹介されています。
情報活用能力の育成3本柱
・情報活用の実践力(文字入力・ネット検索など、情報手段の適切な活用)
・情報の科学的な理解(プログラミング)
・情報モラル(影響・責任・態度などの理解)
次世代で当たり前になるICTは、「読み・書き・そろばん」と同じように学習基盤・社会基盤となるもの。
学校でどこまでスキルが身に着くかは疑問は残りますが、子どもたちのスキル底上げは必須ですね。
ICT活用による学校教育の向上
「動画」や「3D」を利用した理解しやすい教材は、すでに普及し始めておりイメージしやすいICT活用例ですよね。
ICTを活用すれば、さらに今までできなかったことも可能になります。
真っ先に思い浮かぶのは、コロナ禍で需要が増したオンラインでの「遠隔授業」でしょう。
また、「デジタル教科書」では、色覚や視力に個性がある子どもがカラー・拡大率を自由に操作したり、書き込み(また、その書き込みの削除)をしたり、可能性が広がります。
具体的な変化については、次の項目でもう少し詳しくご紹介していきます。
「GIGAスクール構想」で何が変わる?
新しい学習指導要領
親世代どころか、数年前までなかった新しい指導要領に尻込みする先生・保護者も多いはず。
GIGA構想への賛否はあるものの、時代を考えると変革は必然といえますね。
・小学校のプログラミング必修化
・中学校でのプログラミングに関する内容の充実
・高等学校の情報科で「情報Ⅰ」の必履修化
教育現場でのICT活用
先に上げた「デジタル教科書」や「1人1台の端末」導入といったハード面だけでなく、教育内容や教育人材といったソフト面の充実化も伴わなければいけません。
具体的には、どのようなシーン・目的でICTが活用されるのでしょうか。
・一斉学習
いわゆる電子黒板などで、立体画像や動画をつかって授業の幅が広がる。
教師は授業中でも一人一人の反応をみることができる。
双方向・多方向でコミュニケーションができる。
・個別学習
一人一人の学習習熟度に応じた学習ができる。
インターネットをつかった情報収集や理解を助ける教材が使える。
ICTの上で、表現や発表を行うことができる。
・協働学習
グループでの情報共有や意見整理、制作発表ができる。
学校の壁を越えた、遠隔教育ができる。
GIGA構想に反対する意見の中には、「学校の先生の負担が増える」「全員が端末をつかう必要はない」なんて声もあります。
でも、ICTを適切に活用することで、教育の質が向上するだけでなく、先生の負担はむしろ減るはず。
なぜなら、データ入出力の自動化や効率化により、先生の手間もコストもスリム化が可能になるからです。
今後は、ICT支援員(教育情報化コーディネータ)といった現場のサポートもより充実していくと思われます。
学校の先生方にとっても有効と思える変化でなければ、本当の教育改革とはいえませんよね。
この構想導入により、ブラック企業化している先生多忙問題が軽減されることを切に願います。
みんなの期待&不安あれこれ
ICTの可能性は無限大!といいたいところですが、これだけ急速な拡大を見せる一方で、不安の声も多く聞かれます。
どんな声があるのでしょうか。
GIGA構想に期待できること
ここまで述べたように、GIGAスクール構想に期待できることはまさに無限大。
もともと子どもの可能性や適応力は大人の想像以上のもの。
だからICTとの相乗効果にワクワクしてきますね。
・子どものICTスキルの向上
・各科目の学習効率、質の向上
・一人一人に合った個別最適化された授業
・先生の負担軽減、授業のさらなる充実
・情報の安全性向上
(クラウドにデータを保存するので、災害やセキュリティにも強い)
・学びの保障向上
(コロナのような非常時・緊急時での学習機会)
これらは、もちろんこの教育システムだけで完結するような単純なものではありません。
この構想の名のとおり、これは「Gateway(入口)」に過ぎないのですから。
子ども達や教育現場が、ここからさらに興味や経験を広げ、花開いていくことに期待したいですね。
GIGA構想に残る問題点と課題
コロナ禍で応急的に進められたオンライン授業では、学校・家庭どちらも準備不足のままスタートしたため、「すべての子が公正に」授業を受けられたとは言えない状況でした。
このような中、学校・保護者から、不安や疑問視する声も多く寄せらています。
・情報格差、学力格差への不安
・1人1台の端末の適切な管理への不安
(操作、紛失、セキュリティなど)
・経費問題
(今後も持続的に予算が確保できるかどうか)
・GIGA構想そのものの存在否定
(「情報学習はやりたい人だけでよい」等)
など
新しいことを導入するときは、必ずこうした反対意見の声が出るもの。
未来への最善の方法など、誰にもわかりません。
出来るところから手をつけつつ、臨機応変に改善していくことが大事です。
一番の弊害は、現実を見つめようとせず、現状維持を正当化しようとする古い考え方かもしれませんね。
ママが家庭でやるべき3つのこと
ここまで、ちょっとむずかしそうな言葉が並んで退屈に感じちゃいましたか?
かわいい子どもたちは確実にこのGIGAスクール構想のなかで育っていくことになります。
彼らの成長を応援するなら、親も「知らない」ではすまされません。
でも、大丈夫です。
なにも高価なハイスペックPCを用意する必要もありませんし、あなたが我が子に最新のプログラミングをレクチャーする必要もありません。
今、ママたちが家庭でやるべきことは、たった3つ。
・時代の流れから目をそむけない
(ex.「ICT=遊び」の誤解を解く)
・学校や自治体からのメールやHPのチェック
(スタートは受け身でOK)
・ICTについて共に学ぶ姿勢
(親子や学校でのITC教育を一緒に楽しむ)
言い換えると、「観察、行動、学び」の繰り返し。
今すぐできることから行動することで、あなたもsociety5.0という未来を創る一員となれますよ。
目を背けたり文句を言ったりする前に、ぜひ小さなところから始めてみましょう。
まとめ
わたしたち親世代の知る教育現場とは、明らかに時代が違います。
GIGAスクール構想は、これまで言語や文房具を使っていたのと同じように、ICTを使っていこうという取り組みです。
逆にいうと、ICTがそれくらい根本的な教育や社会の基盤になるということ。
そんなGIGAスクール構想は、まだ始まったばかり。
今からでもしっかり「令和のスタンダード」を見つめて、親子で新しい教育を楽しんでいきましょう。
構想の名にある「Gateway」、その扉の向こうは明るい世界があるはずですよ。
コメント
とっても勉強になりました!いつもわかりやすくて助かりまーす♬